認知症の父の在宅介護記録

アルツハイマー型認知症(要介護5)を患う父の在宅介護の記録

介護生活は山あり谷あり

度重なる、下痢との闘いも退院して数日で終わりを告げることとなった。
特に何か新に特別なことをしたわけでもないが、下痢は収束していった。
 
私は何においても、原因ー結果の関係を知った上で、対処法を検討したいたちで、
父の病状についても「なぜそうなるのか?」「何が原因でそうなるのか?」を常に医師にも尋ねてきた。今の往診の担当医は、そういった私の質問に対し「何ででしょうね」とよく口にするのが、そんな医師の言葉に不信感すら抱いていた。
 
だけれども、最近そんな医師の、一見無責任そうにも聞こえる「何ででしょうね」こそが解なのだということに気づき始めてきた。
 
もう父のような老衰の末期状態になると、特定の何かが原因で体調が変化するというのではなく、全身状態が悪くなっていることで、色々な要因が絡み合って、色々な体調不良が起こってしまうのだ。
 
なので、例えば今回の下痢についても、Aという原因のみによって下痢になったのではなく、Aが主要因っぽいが、Bという要因も関係ありそうだし、Cという要因も考えられる。なので、これといった治療法があるわけでもないのだ。
A'とB'という薬を試し、それがダメならC'という薬も試してみようか。
といった具合なのだろう。
 
何でも唯一絶対の解があるわけではない。
何でも白黒つけられるものでもない。
 
父の介護を通して、世の中にはこういったよく分からない事や物も存在するのだと思えるようになってきた。
 
 
さて、9月末に父が退院した後3日程で、あの長い下痢との闘いは終わることとなった。
あまりにも、あっさりと下痢がストップし、少し拍子抜けしてしまった。
 
CD腸炎の便にはアルコール耐性菌が含まれるため、便の処理をした後はアルコール消毒では全く効かないと言われていた。なので、便が付着した可能性がある部分等はハイターを水で薄めたものをスプレイしてから洗濯をするようにと指導された。また便のついたオムツは新聞紙でくるんだ後、ビニール袋を2重にしてからゴミ箱に捨てなければならなかった。こうしたことを徹底するため、スプレイボトルやビニール袋を購入したものの、あっけなく下痢は終了。
 
そんなこんなで、10月から今にいたるまで下痢とは無縁の生活。
さらに、今までは常にゴロゴロ言っていた気管も、今では全くの無音。
痰もほとんど出ず、この1ヶ月でおそらく私は5回も痰を吸引していない。
肌つやも良く、表情もしっかりしている。
嫌な時は、手をあげて抵抗するし、背中が痛い時等、腰をうかすこともできる。
 
下痢がおさまり、痰もおさまり、今は絶好調の父!かれこれ、絶好調具合が1ヶ月以上続いている。このまま体力もつき、どんどん元気になったら、また食べることもできるようになるのでは?なんて思ってしまう。そんな時に以前、とある方がコメントで「介護生活は山あり谷あり」と仰っていたことを思いだす。
こんな好調な時が永遠に続いてくれれば。。。などと叶わぬ願いを抱いてしまうが、
現実はそう簡単にはいかない。
 
遅かれ早かれ、必ずやまた不調な時が来るのだ。
もしかすると、今はそんな時に備えて体力を温存しておくべき段階なのかもしれない。
今のうちに、鋭気を養って、きたる闘いに備えようと思う。