認知症の父の在宅介護記録

アルツハイマー型認知症(要介護5)を患う父の在宅介護の記録

退院に向けて(関係者でのミーティング)

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3月末より肺炎の症状が出てた父、4月5日に施設の運営母体であるクリニックを受診し、その日のうちに総合病院に入院。医師・看護師による献身的な治療、言語聴覚士によるリハビリを受け、約2ヶ月の入院期間を経て、6月6日に退院することとなった。
 
入院当初はもう余命いくばくかと言われていたため、父が帰宅することができる日がくるとは想像もしていなかった。入院期間中も、退院の目途がたつにしたがい、退院後のオプションについて医師と何度か話し合いを行った。医師としては、この状態で帰宅するケースはほとんどないし、お勧めしないとのことだった。大半のケースは、看取り専門の病院への転院となるそうだ。けれども、最期は家族みんなで住み慣れた自宅で、ゆっくり過ごしたいとの私たちの強い希望により、医師も私たちの希望を受入れてくださった。
 
退院に向けた医療行為や介助に関する指導もめどがたち、5月末に関係者でのミーティングが行われた。このミーティングは医師、看護師、言語聴覚士、病院の地域連携担当職員、ケアーマネージャー、往診担当の看護師、訪問看護師、訪問ヘルパー、福祉用具レンタル業者の担当者、と私たち家族と総勢12名が参加した。転院であれば、看護師が私たちに手とり足取り行う手技の指導や、多くの方が時間を割いて参加したミーティングも必要ないことを考えると、在宅療養という選択肢は、本当に多くの方々のサポートの上に成り立つことであることを実感する。
 
このミーティングでは、医師、看護師、言語聴覚士から、父の病状と治療後の経過等についての説明がなされ、在宅療養におけるサポート体制、医療行為、医療・福祉用具などについての意見交換がなされた。
 
私たちが一番懸念していたことは、1.SPO2モニターの必要性、2.栄養注入ポンプの必要性、3.入浴の可否の3点だったが、この点もクリアになった。
 
1.SPO2モニターについて
病院ではSPO2(血中の酸素量)を常時はかっていて、その値が下がるとアラームがなっていた。普段はゴロゴロいう音やSPO2の値を目安に痰の吸引をするわけだが、「もし父が呼吸困難になっているにも関わらず、それに気づくことができなかったらどうしよう」と心配していた私たち。SPO2の値が下がった時にアラームがなる仕組みだと、寝ていてもすぐに目覚めることができるので、アラームがなるモニターを入手できないか?と事前に相談していた。ただ医師や看護師からは、アラームがなる度に起こされることが家族にとってもストレスとなる可能性があるので、アラーム付モニターを使用することはあまりお勧めしないと言われた。またこのモニターはレンタルはなく、購入のみで、金額も10万円近くと高額になることもあり、モニターは諦め、指にはさむことでSPO2を測るパルスオキシメーター(7000円程)を購入することにした。実際に自宅で父の介護を始めると、何のこっちゃないパルスキシメーターで十分である。今思うと、まったく私たちは素人のくせに何を言ってるんだかと笑ってしまうけれども、当時は真剣に悩んでいたのだ。。。
 
2.栄養注入ポンプについて
帰宅後にそなえて、医師がこれまでの栄養剤から保険適用となる栄養剤(エネーボ)に変更してくださったのだが、エネーボにしてから、頻繁に滴下がストップするようになった。高カロリーな液体なので、サラサラではなく、滴下の調整が難しいようだった。ひどいときは開始10分後にはストップし、調整後またしばらくするとストップするといった具合。頻繁にストップすると、その都度調整する必要があるが、私たちはいつも注入中につきっきりで居ることはできないため、このことに頭を悩ませていた。以前の栄養剤の時は、栄養を一定のスピードで滴下するために、滴下をコントロールするポンプを使用していたので、そのポンプを自宅でも使用することが可能か聞いてみた。がこれまた購入にコストがかかるため、ポンプ使用以外の方法を試してみるということになっていた。水で薄めて注入する、滴下ではなくシリンジで注入する、最悪の場合は栄養剤を変更するetc... がしかし、これも問題解決。なんと、注入前に缶をよく振れば良いという、シンプルな解決方法だった。。。ポンプ購入まで考えていたのが笑えてしまう。。。
 
3.入浴について
父はお風呂が大好きだったが、入院期間中は体調との兼ね合いもあり、数回ミスト浴をしていただいた程度で、久しく入浴していなかった。これから暑くなるため、できればお風呂に入れてあげたいと思っていた。体調面を考慮して、果たして入浴が可能なのか心配だったのだが、医師からは発熱時以外は入浴もOKと言われ、ほっとする。また入浴については別の機会に詳しく書くものの、訪問入浴というサービスの有難さを実感している。
 
あと、このミーティング時に新たに分かったことがある。それは障がい者の認定を受けることで、痰の吸引器購入にかかる費用について一部補助を受けることができるということ。父の場合、もう全く動くことができないため、肢体不自由で障がい者の申請をすることができるのではないかということ。痰の吸引器は絶対に必要なものだが、購入・レンタルといずれでも入手可能。購入の場合、機種にもよるが40,000円~70,000円程度。レンタル料は月5,000円程であるが、チューブ等の消耗品(約10,000円)は別途購入が必要。となると使用期間によっては購入した方が良いものの、やはり高額。こうした公的な補助があることは本当にありがたい。そしてこうした情報はもちろん私たちは把握していなかったので、専門の方からの助言により有益な情報を得ることができ、とても助かった。
 

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その他、必要な医療・福祉用具についても購入すべきもの、レンタルすべきものがクリアになったので、順次手配していくことになった。いざ帰宅となった際に、部屋をどうレイアウトし、何をどの程度そろえるべきか等、全く分からなかったものの、各分野の専門の方々に助言をいただき、情報を整理することができて、頭の中のモヤモヤが吹き飛んでいった。あとは自宅の居室を準備して、父の帰りを待つのみ。退院が待ち遠しい。