認知症の父の在宅介護記録

アルツハイマー型認知症(要介護5)を患う父の在宅介護の記録

下痢とのたたかい(その1)

 

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退院後の父は自宅に帰ってきた安心感からか、体調はすこぶるよく、これまでの眉間にしわを寄せっぱなしで終始苦しそうだった父とは別人のように、表情も穏やかになってきた。「もって2, 3か月、夏は越せないでしょう」と言われていたのが嘘のようで、「来年も再来年も誕生日を迎えられるかもね」なんて家族と話していたくらいだ。
 
ところが、7月上旬頃から急に下痢になり、そこからみるみるうちにまた衰弱していった。下痢になって、薬を処方してもらったものの、処方された整腸剤は全く効かず。。。往診の先生に、「細菌性の下痢の可能性もあるし、便の検査をしてもらえないか」とお願いしたものの、「自宅で便をとって病院に持ち帰ることはできない」と言われる。いやあ。できるんじゃないのかなと思いつつも、強くはつっこまず。。。
 
そこから数日様子を見たものの、下痢はいっこうに治る気配はなく、また往診に来てもらう。いつもの担当医とは異なる先生が来られ、抗生剤が原因で発症するCD(クロストリジウム・ディフィシル)腸炎の可能性があるということで、別の薬を処方していただく。また腸への負担軽減のため、経鼻栄養はストップし、OS1のみを注入することになる。当然のことながら、栄養が全くとれないので、父はますます痩せ細っていく。。。がこの薬が効いたようで、服用した翌日には下痢は落ち着いてきた。
 
父は4月から肺炎と膿胸治療のため2ヶ月間、抗生剤を投与し続けていた。その時の抗生剤の影響で、腸が炎症を起こしている可能性があるのではないかとのことだった。でも結局、便の検査はしてもらえなかったので、抗生剤の影響なのか否か、はっきりとは分からずじまいだった。
 
ここまでに要した時間8日間。。。健康な私たちでも数日お腹をくだすだけでも、しんどいのに、体力も無い父にとっては相当苦しかったはず。。。たかが下痢ではないのだ。
 
また下痢そのものの苦しみに加え、皮膚のただれという副産物もうまれる。父は動けないし、言葉を発することもできないので、便が出ても自分でどうすることもできない上、「出た」ということを私たちに伝えることはできない。なので、すぐにオムツを交換できない時もある。(だいたいは匂いで察知できるけれども。。。)そうなると、お尻の皮膚がかぶれたり、ただれたりしてしまう。最初は少し赤くなる程度だったものの、すぐにただれてしまうのだ。そうすると、皮膚にふれるだけでも痛いようで、ちょっとお尻を触るだけでも、眉間にぐっとしわをよせ、痛がる。なので、下痢の時は、基本的におしりふきで拭くことはしない。ぬるま湯で洗い流してあげるのだ。そして最後は軟膏をたっぷりぬってあげる。
 
そんなこんなで、寝たきり老人で、下痢が続くことは、私たちが想像する以上の痛みと苦しみ、不快感があるのだと痛感する。とにかく、一日も早く下痢はとまるよう祈るしかない日々だった。